オーデマピゲの歴史 (AUDEMARS PIGUET)

AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) 創業年=1875年
創業者=ジュール=ルイ・オーデマ
    エドワール=オーギュスト・ピゲ
創業地=スイス、ル・ブラッシュ

ふたりの時計師から受け継いだ「奇跡の手」が常に一歩先のクォリティを生み出す

熟練の伝統技術と卓越した開発力の融合
  時計業界において「奇跡の手」と賞賛される、卓技した技術を守り続けるブランドがある。1875年、スイス・ジュラ山脈のジュウ渓谷、ル・ブラッシュに創業し、現在も同所に拠点を置くオーデマピゲだ。同社の創業者はふたり。ひとりは時計職人の家系に生まれ、幼少期から時計作りの英才教育を受けたエドワール=オーギュスト・ピゲ。もうひとりは農場を営む家に生まれながら、自ら時計工芸家の道を選んだジュール=ルイ・オーデマ。幼なじみだったふたりは、それぞれが時計職人としての名声を得たが、あえてリスクを背負って複雑時計専門の工房を設立。なぜなら、当時の時計つくりは複雑の工場での分業が当たり前。しかし自分たちが納得できる完成度を求めるなら、すべての工程を自社工房で行なうべきだ・・。二人の一致したこの思いから、部品製造から組み立てまで一貫して行う、マニュファクチュールとなったのだった。
  またもうひとつ彼らが願ったのは、自分たちが培った技術が後生に受け継がれることだった。そのため、マイスターと呼ばれる優れた時計工芸家を養成するためのシステムを創業当時から構築。現在も同社には時計技術者養成学校があり、伝統的技術を学ぶことになっている。
  1889年に懐中時計として誕生し、現在は自動巻き腕時計としてラインナップしている「グランコンプリカシオン」というオーデマ ピゲ随一のハイエンドモデルがある。時・分・秒に加えデイデイトマンス表示、永久カレンダー、ムーンフェイズ、ミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフなどの複雑機構を搭載。600個以上に及ぶパーツの組み上げから装飾に至るまで手作業で行われ、熟練のマイスターでも完成まで約1年の時を要するため年間3本しか製造できないという。この超絶時計が誕生当時と変わらず自社生産できるということは、「奇跡の手」がふたりの創業者から脈々と継承されてきた証なのだ。
  1892年に腕時計の製造をスタートしたオーデマ ピゲは、1946年には厚さ2㎜に満たない世界最薄のウォッチムーブメントを開発。手工芸的な時計作りの伝統は守りつつ技術開発にも邁進し、世界初の偉業を達成してきた。近年では1972年のロイヤル オークの誕生がエポックメイキングだろう。8角形のステンレススチール(SS)ケースが力強い印象の高級スポーツモデルだ。その当時、高級腕時計の素材として論外とされたSSを防水性能重視で、ためらいなく採用。ラグジュアリースポーツという新ジャンルを切り開き、愛される定番シリーズとなった。2009年の新作では超軽量・高硬度の新素材フォージドカーボンを採用するなど、ロイヤル オークの革新性は変わらず続いている。伝統的技術に裏打ちされているからこそ、新たな技術開発に積極的に取り組める。オーデマ ピゲは軽やかに他ブランドの一歩先をゆく時計を生み出しているのだ。

― オーデマピゲの歴史 (AUDEMARS PIGUET)―

1875 ジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーグスト・ピゲが、スイス・ジュウ渓谷のル・ブラッシュで創業
1882 世界初となるコンプリカシオン懐中時計を開発
1885 ジュネーブに子会社を設立
1889 パリで開催された万国博覧会において、3針機能に加え、パーペチュルカレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフ、ミニッツリピーターなどを搭載したグランコンプリカシオン懐中時計を発表
1892 時間経過を金属音で知らせるミニッツリピーター機能を腕時計に世界初搭載
1915 世界最小のファイブミニッツリピータームーブメントを発表
1918 二人の創業者の息子たちが事業を継承。ジュール=ルイの無底ポール=ルイが会長兼テクニカルマネージャーに就任
1946 世界最薄1.64mmの手巻き腕時計を開発
1972 世界初のステンレススチール製ラグジュアリースポーツウォッチ=ロイヤルオーク発表
1978 世界初の自動巻きパーペチュアルカレンダー腕時計を開発
1986 世界最薄の自動巻きトゥールビヨン腕時計を開発
1989 1つの自動巻きムーブメントによるセカンドタイムゾーンの時刻表示を可能にした最初のリストウォッチ、デュアルタイムを発表
1993 ロイヤル オーク誕生から21年後、エクストリームスポーツに対応する時計、ロイヤル オーク オフショアを発表
1996 グランコンプリカシオン自動巻腕時計を発表
創業120年を記念してオーデマ ピゲ博物館を設立
2006 世界初、潤滑油が不要な独自新機構「オーデマ ピゲ脱進機(APエスケープメント)」を発表
2009 毎時4万3200振動を誇るAPエスケープメントの最新版を発表