時計のパーツ◆針◆

◆針◆バリエの多彩さは底知れないパーツ

  これがなければ計時ができないという点では、インデックス以上に不可欠なパーツが針です。ここに紹介する針は、いくつかを除いて、20世紀初頭の腕時計の発展とともに、デザインが確立したもの。実際には、タイプやバリエーションはもっと存在し、分類がクロスオーバーするものも少なくありません。
  例えば、リーフ針は、同タイプでありながら、太さ、先端の尖り具合、夜光の有無などでまったく雰囲気が異なります。しかも、スポーツタイプでメーカー資料にはリーフと記載されていても実際にはソード型にも見える、といった具合に、膨らみの位置や曲線の描き方で、どちらとも取れるものも多数あります。 針の分類は、さまざまな要素が絡み合って決まり、それだけ複雑な世界をつくっています。

【リーフ(スポーツ系)】
針・オープン
針の中央付近に膨らみがあり、葉の形に見える形状。膨らみが角ばっていてダイヤの形に近いものもある。クラシカルなスタイルで、時計の用途を問わず使われる。 【リーフ(ドレス系)】
針・スケルトン"
リーフ針の中でも、一段と細身で曲線的なデザインが、ドレス系ウォッチでは多用される。文字盤色とマッチする着色が施され、エレガントな雰囲気を強調する。
【バトン】
針・オープン
「バーバトン」とも呼ばれるシンプルな一本棒の形状で汎用性が高い。細いタイプはドレス系で、より太いタイプは夜光を施してスポーツ系で用いられる。 【ドルフィン】
針・ドルフィン
先端は細く、軸近くが太くなる菱形の針。由来は、仏語の「王太子」とも、形状がイルカ(ドルフィン)に似ているからとも。極太タイプを用いるダイバーズもある。
【ペンシル】
針・ペンシル
先端が三角形となっており、まさに鉛筆のような形状。概して太く、見やすい。夜光も広く塗布できて視認性が高いため、スポーツ系で多用されるポピュラーな針。 【アロー】
針・アロー
先端が矢印に形作られている。時針のみ、分針のみがアローのこともある。矢の形状はさまざま。オメガのブロードアローは同社の象徴的なデザインとなっている。
【ソード】
針・ソード
針の先端側が太く軸側が細くなっており、両刃の剣(ソード)をかたどったような形状。本来はクラシカルな形状だが、今も採用する時計が見受けられる。 【スペード】
針・スペード
トランプのスペードを模した先端部を持つ針。時針のみがスペードを持つ場合もある。懐中時計時代から続く定番の形状だが、高級モデルを中心に使われ続けている。
【ブレゲ】
針・ブレゲ
アブラアン=ルイ・ブレゲが考案。細身の針でも視認性を向上させるため、先端部に円盤部分を設け、穴を開けたもの。クラシカルな意匠を施した時計で採用例が多い。 【ベンツ】
針・ベンツ
「メルセデス針」とも言われ、時針の先端にメルセデス・ベンツのエンブレム(スリーポインテッドスター)そっくりの意匠を施す。ロレックスのスポーツ系モデルで多用
【モダン】
針・モダン
棒のように細い突起が針の先端に付いている。この場合のモダンは「近代」の意味で、アンティークに多く見られる意匠。現代ではごく少数の使用に留まっている。 【コブラ】
針・コブラ
時針の先端部がコブラの頭部のような形状と模様となっている。アンティークのドレス系、軍用時計や航空時計で多く見られ、視認性向上を狙ったクラシカルな意匠。
【スケルトン】
針・スケルトン
針の胴体部分を中抜きを施した針。インダイヤルやカレンダーなどの表示の視認を妨げないための工夫であり、比較的大型の針で採用されることが多い。 【サーペント】
針・サーペント
サーペントは大蛇の意味で、まさに蛇行した形状から想起された名称。ウェーブとも呼ぶ。秒針やクロノ針で採用されるが、ポップなデザインでは時分針にも。