手巻き式時計、自動巻き時計、クォーツ時計の違い

  今回は、手巻き式時計、自動巻き時計、クォーツの違いを紹介したいと思います。
  機械式時計(手巻き式・自動巻き)とクォーツの違いは、簡単に言えば動力の違いです。クォーツは電池で動きます。しかし、機械式時計は、ゼンマイを巻かなければ止まってしまいます。また、機械式時計は100以上もの部品を時計職人の手でひとつひとつ組み上げて作る時計でもあります。

手巻き式時計について

手巻き式時計

  『手巻き式時計』は、ゼンマイの巻上げをリューズ操作で行う時計のことです。現在の腕時計ではリュウズを回すと、その回転が歯車などに伝わり、その結果、香箱(機械式時計の動力源である主ゼンマイをおさめる丸缶状の歯車のこと)におさめられた主ゼンマイが巻き上げられるしくみになっています。リュウズを手で回すとコリコリという手触りがありますが、これは歯車を伝わって、主ゼンマイが巻き真に巻き締められていくときの感触が伝わるものです。締め過ぎると機械を傷めますので、リュウズの回りが重たくなったら巻くのをやめたほうがいいでしょう。

  リュウズからの動力が伝わる流れは、まずリュウズをまわすと、その回転は巻き真に伝わり、ツヅミ車が回ります。ツヅミ車はそれとかみ合うキチ車を回し、キチ車は丸穴車を回し、丸穴車はさらに角穴車を回します。角穴車の角穴には、香箱真(一番真)がはまり込んでいるので、角穴車が回ると、同時に香箱真も回ります。この香箱真のヒッカケには主ぜんまいの内端が、また香箱の内側には外端が、それぞれ引っかかっているので、リュウズを巻くと主ゼンマイが香箱真に巻きつけられ、動力を蓄えることになります。

  主ゼンマイに蓄えられた動力は、香箱車から二番車、三番車、四番車へと伝わり、最終的にガンギ車まで伝達されます。一連の車の連絡を「輪列」といいますが、特にこの時の輪列を「駆動輪列」といいます。そうして主ゼンマイの動力は車を回転させていきますが、このままでは、たわめられた主ゼンマイが一気にほどけてしまい、輪列が高速回転するだけで、正しく時を刻むことは出来ません。そこで四番車の後にガンギ車以降の脱進、調速機が連絡します。現在の機械式腕時計ではそのほとんどにアンクル式脱進機が用いられています。

  アンクル式脱進機は、駆動輪列を伝わってきた動力によって回転しようとするガンギ車を、アンクルによって規則正しく進めたり停止させたりする脱進機のことです。この後テンプが調整をつかさどります。

  テンプは、テン輪やテン真、振り座などで構成された調整を行う部分です。輪列、ガンギ車、アンクルと伝わってきた主ゼンマイの動力を、テンプ中心にあるヒゲゼンマイと共に規則正しい速度に変換するはたらきをしています。

自動巻き時計について

自動巻き時計

  時計を腕につけている間に、体の動作に呼応して、ローターが回転しゼンマイが巻き上がる機構です。オートマチックともいいます。

  手巻きの場合は、リュウズ、巻き真、キチ車、丸穴車、角穴車、香箱真、ゼンマイの順で巻き上げの回転が伝わっていきます。ゼンマイは香箱に収まっていて、ゼンマイの元に戻ろうとする力を歯車に伝えて回転エネルギーを生み出します。自動巻き時計の場合は巻き上げの方式が色々ありますが、一般的な構造は、回転錘、切り替え車、伝え車、角穴車、香箱真、ゼンマイの順に力を伝えていきます。

  手巻きと自動巻きの構造上の違いは、ゼンマイで、手巻き時いるためです。なぜなら、手巻き時計と同じ構造であれば、ゼンマイが一杯巻かれて、それ以上巻けなくなっても巻き続けようとして壊れてしまいます。そこで、一杯にゼンマイが巻かれるとそれ以上負荷がかからないよう、香箱の中でゼンマイが滑るように工夫されているのです。つまり、ゼンマイ自体にリミッター機構が備わっているのです。

  自動巻きが初めて開発されたころ、この部分の機構にロッレクス社が特許を持ってたため、他のメーカーはいろいろ知恵を絞って機構を考案したそうです。自動巻き機構はさまざまなメーカーによってさまざまな方式が考案されました。大雑把にその進化を振り返ると、ローターが半回転(もしくはそれ以下)しかしない物から一方向に全周回転する物、そして現在の両方向に全周回転する物へと進化してきました。現在ほとんどの自動巻き式腕時計が採用しているのが、「切り替え車式」です。この方式は、二つの切り替え車によってローターの回転方向に関らず、ゼンマイの巻き上げ方向にのみ入力されることになり、スムーズな巻き上げが可能です。

クォーツ時計について

クォーツ時計

  電圧を加えると、毎秒3万2768振動する水晶の特性を生かした、高精度ムーブメントです。機械式では日差秒数の精度ですが、クォーツ式は月差数秒という高精度です。1969年にセイコーが世界で最初にクォーツ式を商品化しました。

  機械式時計は、テンプの等時性を利用して時間を計ってきましたが、クォーツ式時計はテンプの変わりに「水晶(クォーツ)」を用いて時間を計っています。水晶は、電圧を加えると振動し、また、振動すると発電するという二つの特性を持っています。これを利用して時を刻むというのが、クォーツ式時計の基本の仕組みです。

  簡単に説明すると、水晶ユニットのなかの水晶は、内蔵された電池により電圧を加えられると振動し、この振動は集積回路でパルス信号になり、電流をコイルブロックに流し、コイルブロックは、電流が流れたため磁性を帯び、その磁力が伝えられ、もともと磁力を持ったローターを回転させ、歯車を伝わり針を動かします。