腕時計の防水性について

  先日、ロレックスの修理をお客様よりお預かりしました。お客様がお持ちになられた時には、すでに文字盤内部が水蒸気で充満されていて時計の針すら見えない状況でした。ロレックスといえば、オイスターケースで特に表示が無くても10気圧防水ですので、お客様としても水仕事ぐらいであれば問題ないであろうとご使用になられていたようです。

防水機能とその用途について

  ここで、防水機能とその用途を整理してみると以下の通りです。(社団法人日本時計協会HP参照)
【飽和潜水時計(200~1000m)】
  表示されている水深(例:300m)までの潜水に耐える防水性を備えています。潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置付で、ヘリウムと酸素の混合ガスの呼吸気体を利用し、深海で潜水する時(飽和潜水)に使用する時計です。
【空気潜水時計(100~200m)】
  表示されている水深(例:100m)までの耐圧性と長時間の水中使用に耐える防水性を備えています。潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置付で、ボンベに圧縮空気の呼吸気体を入れて浅海で潜水する時(スキューバダイビングなど)に使用する時計です。飽和潜水用に使用することはできません。
【日常生活用強化防水時計(20・10気圧防水)】
  水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)及び素潜り(スキンダイビング)をされる方にお使いいただけます。飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。
【日常生活用強化防水時計(5気圧防水)】
  水に触れる機会の多い水仕事(漁業・農業・洗車・食堂など)や水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)をされる方にお使いいただけます。素潜り(スキンダイビング)及び飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。5bar以上の防水時計でも水圧の激しいシャワーや水道水が直接時計に当たらないようご注意下さい。
【日常生活用防水時計(2~3気圧防水)】
  日常生活での汗や洗顔のときの水滴、雨などに耐えられるものですが、水仕事、水上スポーツ、素潜り(スキンダイビング)、潜水には使用しないで下さい。水圧の変化が激しい条件では使用しないで下さい。
【非防水時計】
  裏ぶたに、WATER RESISTの表示がないものは、直接、水に触れないよう注意してご使用下さい。
上記をみてもわかりますように、お客様のお持ちのロレックスは10気圧防水の性能がありますので、先に申し上げた通り、日常の水仕事はまったく問題がありません。それでは一体どうして時計の中に水が入ってしまったのでしょうか?
  ここからが一番重要なポイントですが、いくら立派な防水機能あっても使用上の注意・日頃のメンテナンスを怠っていますと防水がまったく意味を成さないということです。
  先のバーゼルでも、ロレックスから3900m防水を誇る「SEA DWELLER DEEPSEA(シードゥエラーディープシー)」が発表されました。人間すらもぐることも出来ない深さの驚異的な防水機能を持つこのロレックスでもリューズが緩んでいたらまったくその機能は無いも等しいということです。それでは、海に潜らないから大丈夫じゃないかと思われるかもしれませんが、ちょっとした水仕事、極端な場合では、特に動かしてない場合でも(時計が多く生産されるスイスを始めとするヨーロッパよりも日本はかなり湿度が高いですので)充分に気をつける必要があります。

防水時計をご使用の際の注意事項について

以下、防水時計をご使用の際の注意事項です。
定期的なパッキンの交換、防水検査、オーバーホール(分解掃除)をお勧めします
  ⇒防水時計の裏ぶた、りゅうず、ガラス、そしてそれらに使用されているパッキンは、外部からの水分やゴミなどの侵入を防ぎ、時計の機能を保護しています。それらの部品(特にパッキン)は長時間の使用により、汗や水分・使用による影響を受け、弾力性が低下したり、もろくなることがあります。
 定期的なオーバーホールは防水検査も含みます(※「いのうえ」では必ず行っておりますが一部で防水検査を省略されているところもありますのでご注意下さい)ので、それらの劣化具合をチェックし問題があれば交換するようにしています。
水分のついたまま、リューズやボタンの操作をしないで下さい
  ⇒水分のついたまま、りゅうずやボタンの操作をすると、時計内部に水分が浸入し、防水不良の原因になる場合がありますので、ご注意下さい。
「ダイバーズウオッチ」である旨を充分確認してもらって修理・電池交換はご依頼下さい
  ⇒「ダイバーズウオッチ」は通常の時計と違い、電池交換でも専用の特殊試験機で検査する必要がある物もあります。
  くれぐれも、お買いになられた時計の取扱説明書を良く読み理解してから正しくご使用ください。そして、万が一浸水した場合は早急に修理をする必要があります。ほっておくと湿気が原因となり時計内部の機械にサビがくる等の破損の原因になります。
「いのうえ」では、腕時計の電池交換・オーバーホール(分解掃除)も格安にて承っております。
(特にロレックスのオーバーホール(分解掃除)には自信があります!ロレックスだけでも年間200本以上取り扱っております。)お気軽にお問い合わせ下さい。